命を削るということ

私たちは25年前から数えきれないほど抱き合ってきた

さすがにその回数は数えたことがないが、ものすごい数である

私達二人の間で抱き合うことをSYJと呼ぶ

私たちのSYJははっきりいって毎回ものすごい

時間が限られているから、死に物狂いである
会えない日の分をその限られた何時間かで取り戻そうとする

お互いに、愛していることを精一杯伝えたいという思いで溢れている

元来二人は一つだったと心から信じているから、密着した肌と肌は溶け合って境目がわからなくなっている

私は自分の中の液体という液体がJの中に浸透していくような不思議な感覚に陥っている

お互い自分のすべてをさらけ出し、動物的に素直に求め合い、毎回どんどん高みに向かっていく
1回毎にいろんなことがアップデートされる

人間の本質的な部分が現れるのと同時に、とても繊細な心の機微に触れることができる

お互い、自分の存在が特別であることを確かめ合いたいと思っていて、一度は必ず確認し合って心を落ち着かせる

支え合いのような優しさがそこにはあり、思いやりの交換場のようでもある

普段足りない言葉を補い合えるチャンスのようにも思える
SYJは二人の究極のコミュニケーションなのかもしれない

お互いに望むことをしてあげたいと強く思っていて、してあげることで、してもらうことで、気持ちがより深く伝わり合う

恐らく生きていれば、これから先死ぬまでJと数えきれないほど抱き合える

ただ、私たち二人にとって、まさにこの「今」抱き合っている瞬間は、かけがえのないもので、儚くも思える…

私たち二人は今日の夜も、明日も一緒にいられない

だから「今」死に物狂いで求め合わず、いつ求め合うのか、と思う…

「今この瞬間を大切に」
ありきたりなことだけれど
切実にそう思う

ある時二人同時に気づいた
私たちは命がけでSYJをしているということ

SYJで私たち二人の寿命はかなり縮まっている気がする
もしかしたらいつか最中に心臓が止まるかもしれない

「でも構わない」
と二人とも思っている

SYJに命を削ることは本望だと
二人とも思っている

JはSYJで心身ともにすべて満たされるという

私もそうだ

私はこの上ない幸福感の中で、涙が勝手に流れてしまう
いつも泣きながらJにしがみついている

Jが欲しい
Jを決して失いたくない
私の強い願いが顕になる

すぐに目を閉じてしまう私にJは
「俺の顔を見て、R」
と言う

ハッとして目を開けると
Jが私を見つめている

何度も何度も抱き合っているというのに
今でも信じられない気持ちになる
本当に…私がずっと愛し続けているJだ…
って思う

Jの目を見つめると、視線が捕らえられて逸らすことがなかなかできない
Jは優しく微笑んでいる

私が愛おしさのあまりJの名前を呼ぶと、Jは「ここにいるよ」といつも言ってくれる
その言葉は私の心を優しく包む

自分が死ぬほど愛しているJが、
今、私一人を見つめて、私だけに集中してる
完全にJを独占している時間

これほどの幸せは他にないと確信している

二人とも、このまま死んでもいい、という思いで抱き合っている

Jとの命を削るSYJは
間違いなくどんなことも超越している

大袈裟でもなんでもなく、人生の意味がここにあると感じる
それはもはや単なる性の衝動ではなく、もっともっと、とてつもなく深い意味を持っているように思える

SYJは、Jと人生を共にする運命を確信するような、重い重い大切な事実である

誰も立ち入ることができない
二人だけの世界の極みである

これからを生きるために
Jと命を削って抱き合う

Rは俺の人生だよ
ってJは言う

SYJは俺の生きる意味だよ
ってJは言う

私も全く同じようにそう思う

二人が一体化し、一つであることを確認できる最高の時間

生きててよかったと思える瞬間
こんな素晴らしいことがあるなら、生きていこうと思える瞬間

お互いの中に一番深く立ち入れる時間

生涯でただ一人、Jだけが私の心身の一番奥に立ち入れるのだ

二人の間に少しの隙間もないこの上なく素晴らしい時間

この時間があるなら、どんなに辛いことが山積みでも、生きていようって思う

二人が毎日抱き合える日がくれば
私たちは様々な苦しみから救われる

これからも最高の二人の時間をずっとずっと積み重ねていきたいと思う

SYJの時、手を繋ぐのが好き
繋いだ手は心と心の通い合う道のような気がするから

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