1年で一番嫌いな季節がまたやってきた。
換気をするために窓を開けているオフィスには、覚えのある匂いの風が容赦なく入ってくる。
全く同じ空気。当たり前、日本の四季は必ず同じように巡る。背中に重石が置かれたみたいにずーんと身体が沈む。
目が回りそうな忙しさにも関わらず、意識が遠のいた。まるでどこかにワープしたかのように。
私は依然としてトラウマを抱えたままのようだ。
Jを見つけ出してからは、Jと一緒になるために一心不乱に生きてきた。自分にできることはすべて必死にやった。それはこのトラウマからどうしても逃れたいがためでもあったのかもしれない。
Jの奥さんになれた時に、トラウマは消えるだろう。それ以外の方法で逃れる方法はまだ見つからない。
私の苦しみはずっと続いている。Jとその相手が変わらず続いているからだ。毎年、4月29日を迎えるたびに重なってゆく二人の記念日が私を押しつぶす。二人の繋がりを見るのが耐えられなくなった。
私はあの時、死がちらつくほどの精神的ダメージを負い、助けを求め続けてきたのだ。四半世紀も私にへばりついて離れない。
恐らく去年の3月の過呼吸もあの時のショックと重なったのだと思う。同じ人だから。Jは「たかが電話に出たくらいで」と言ったけれど。私の悲しみは元からあって消えてないから、何も、そのことに関しては軽くは考えられないんだ。
私は、Jが私をそこから救い出し、自分の腕の中に私を一生抱きしめ続けるために、命をかけて行動すると信じてきた。少しずつでも前進していくと。
前進。少しはしていたかもしれない。
でもこれ以上できないんだと思った。何もたぶん変えられない。変えようとしないのは、Jがそう望んでいるからなんだと。
最初のタイミング。
その時、急に何かがどうにかなるのかな。。それとも何も起こらないで、ああタイミングを逃したね、となるのだろうか。。
私は待つことしかできないかもしれない。
この季節が辛くないと思える時は来るんだろうか。早く夏になれと思う。でも今年はコロナのせいで寂しい夏かもしれないな。
毎日毎日会社に行き、朝から晩まであくせく働き、時が過ぎていく。
時が経っても何も状況は変わらない。
きっと、3年ぐらいあっという間に経つだろう。
私、薬指にする指輪があるのに、はめることができないの。
だって、旦那さんと呼べる人も入籍の日取りが決まってる婚約者もいないんだもの。。
別の指には入らない。何度か試したけれど。