火影

火影/中田裕二

日没が近付けば

底知れぬようなさみしさが

影のように付いてきて

心がまたおかしくなるよ

見えない 聞こえない

目を閉じ浮かべるあなたの背中を

染め上げた夕日の赤色

取り憑かれて 我を忘れ

それほどに愛するなら

間違えても仕方ないよ

命など揺らめく炎

自分なんて何処にも

見当たらないのは知ってた

求められるわりには

空っぽだと身に堪えた

綺麗なものたち

いずれは去りゆく

それならわかってる

とてもわかり過ぎるからこそ

構わないで 逃れながら

凍える身体よこして

溢れ返る悲しみなら

この胸に流してしまえ

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