憧れ

先日の会社の送別会で、私の隣の隣に座った人はやたら周りに結婚してるのかどうかを聞きたがる人だった。

私のところまでは幸いその好奇心は及ばなかったようだが、隣の席の人は集中攻撃を受け、素直に24歳で結婚しただの子供は何人だのと話していた。

私はすぐさまその席を立ちたかったし、はっきり言ってその人がウザかった。

考えてみた。皆、結婚しているまともな自分を自慢したいし、ちゃんと結婚しているかどうかで、その人の価値や印象を決めつけるのだ。男の人ほどステイタスの一つなのかもしれないが、指輪をキラキラとさせている。ほら、今カフェの一角から視界に入るサラリーマンのおじさんたちもみんな指輪してる。

異常に疲れた。誰とも絡みたくなくて、ずっとゴミをまとめたり、片付けしたりしていた。大勢の飲み会の場が昔から嫌いだ。うるさいし、喋りたくもないし、盛り上がれない。

金曜日の夜だったのだが、週末開けた今日もまだ疲れが残っているように感じる。眠くてだるい月曜日だ。

4人の送別会だったが、自分は派遣だということもあるし、在籍が短いこともあり、私との別れを社交辞令でなく惜しむ人なんて1人もいなかった。ま、いいんだ。

とにかくまた、結婚という文字が頭をぐるぐる渦巻いて嫌になった。

嫌になるのは、私こそ、結婚にこだわってきた人だからだ。Jとの結婚が私の人生の目標だった。憧れに近いものだったが、いつか現実になると、何故か頑なに信じてきた。

そんなの、夢物語じゃないかと、誰かが私に向かって一言吐き捨てる。もう1人の自分だ。

そう。まったくもって現実的ではなかったのかもしれない。

昨晩Jにもらった結婚指輪を薬指にしてみた。久しぶりのその感覚は非日常的だった。ダイヤが大きくてしっかりと並んでるから、重みがあり存在感がある。金属の冷たさが指に浸透していった。0.5きざみでサイズを合わせてもらったから、びっくりするくらいぴったりとしている。

少し眺めて、外した。

私の憧れは、依然として憧れのままで、力尽きようとしている。

眠い。寝たい。

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