まだ2月なのに春のような陽気
帰り道、どこからか吹いてくる風の匂いがマスク越しでもわかって懐かしく感じた
いつかの空気だ
Jの手の形と感触を思い出し、切なくなり少し涙が出てきた
私はJとの生活をずっと夢見ていた
まるでそれは本当のことのように、頭の中でリアルに映像化されていた
洋服やタオルをきれいに畳み、美味しいお茶を入れてくれるJが、毎日そばにいて、優しく静かに愛しむように毎日を大切に過ごす
閉鎖的でも狭い世界でも良かったのだ
今から、この時点から、そこに辿り着くには、何をどれほど乗り換えて行かなきゃならないのか
考えてもわからなくて混乱してしまう
私の望む将来と、Jの望む将来
今、どのくらい同じなんだろう
2人で願えば必ず叶うと言っていたJの言葉がいつからか信じられなくなって
言葉は、ただの言葉で、何も現実にはならないんだと悟ってしまった
そして何もできないまま1年、2年とするすると時に流されていく
自分の本当の願いも人生の目標もよくわからなくなってしまった
一人きりになりそうな将来が怖い
娘と母親をできる限り大切にすべきだ
私のことを無条件で愛してくれる2人なのだから
そして、私にとってのたった2人の大切な家族なのだから
「あなたとあなたの周りの大切なものすべてを想います」
「花束」の歌詞を聴くと私もそうなりたいと強く思う
そして、これからの私には、そういう心の広さを持ち、私だけでなく私の周りまでも大きく包んでくれるような人が必要なんだと思う
Jがそうであれば、と思う
何せ今まで生きてきて、愛してると言える男性はJただひとりだから
愛してる人との結婚はこの歳になっても私の憧れ
愛してる人の匂いに抱かれて毎日眠れたらどんなに幸せだろう
どんなに