いつも結婚指輪をきらきらとさせているお隣の部署のおじさんが、給湯室にマイタンブラーを持って現れ、残っていた液体をシンクに捨てた。
私はちょうど帰り支度で自分のマグカップを洗っていたから、(ついでに)洗いましょうか?と言ったら、「いや、家に持って帰ってかみさんに洗ってもらうから」とぴしゃりと言われた。
私は、そうだ、Jが会社で使ったタンブラーを洗ったりしたいんだった、と急に思い出した。
結局、幸せそうな結婚生活を送る人たちが羨ましいのだ。
同じ部署の女性は一つ年上で美人で仕事をバリバリこなし、建築家の旦那さまがいて子供はいない。
旦那さまとは老後の心配をしながらも旅行の計画を一緒に立てたりする、という話を昼休みに聞いた。とても楽しそうだし幸せそうだ。
経済的にも余裕があるから、その優雅な生活っぷりが彼女全体の雰囲気に現れている。
朝のお茶代308円×16日だから、えーと。。とか昼休みに電卓を叩きながらやり繰りに頭を抱えている情けないおばさんとは違う。
今日も1日朝から晩までめいいっぱい働き、疲れ切ってヘロヘロだ。
帰り道、Jが今日東京に来ていたことを知った。まだ駅のどこかにいるかも、と辺りを見回したけれど、それらしき姿は見つけられなかった。
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さて、あっという間に月末がやってきた。恒例の銀行廻り。金曜日はまあまあ混んでいる。待ち時間はいつもこれを書いたり、ネットサーフィンしたり、インスタチェックしたり、半分眠ったり。。
少し眠ろうか。いや、大金と通帳と理事長印を持っているのだからそれはまずい。たまに思う。今道で襲われてカバンを奪われたら、大変なことになるなあと。この仕事、私みたいな派遣社員にやらせていいのだろうか。
しかし眠い。
春眠暁を覚えず。
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今朝、金曜日にだけ行くカフェに、Jに雰囲気が似ている人がいた。でも確実にJじゃなかった。立ち上がったら、背が私ぐらいしかなかったのだ。